おもしろい? (その3)

読むのと同じくらい重要なのが,書いて考えることではないか

と思います。

書くことには浄化作用があるように思います。

 

けれども,拘置所で書くのは難点があります。

 

それは,書くためには,いちいち,刑務官に筆記用具を

貸し出してもらわなければならない

 

というハードルの高さです。

しかも,書いたものを刑務官に戻すというハードルの高さもあります。

 

人に読まれる前提で,読まれても良いような自分の気持ちを書き出すというのは,

無理があります。

そんなの,日記ではなくて,たんなる妄想になります。

 

そこで,私が聞き出すのです。

 

そのときに,まずは,

どうしてそう思ったのか?

を重ねて,本人が考えている理由を聞きます。

でも,私が同じくらい重要だと思うのが,

 

どうしてこう思わなかったのか?

 

と聞く点にあります。

同調するだけでは…ですよね。

極論をぶつけて反応を見たりしております。

そして,反応をみながら,次に差し入れる本を決めているのです。

 

(実は,本人との本の会話を簡単にメモしております。

 本人が出て,しばらくしてから,「最初はこうでしたよね」

 と話すと,ものすごい,喜んでもらえるからです)

 

拘置所に入るという不幸な出来事を,なにかのきっかけにして

差し上げることが出来れば,こんなに嬉しいことはない。

それが,私の願いです。

 

おせっかいかもしれないけれども,

私がしたいから,そうするのです。

頼まれたことだけをするのは,つまらないから。

 

そして,その方がずっと,おもしろいからです。