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低線量被爆地域

 今日は,この本で勉強しました。

低線量汚染地域からの報告―チェルノブイリ 26年後の健康被害

低線量汚染地域からの報告―チェルノブイリ 26年後の健康被害

 

 

1991年,IAEAチェルノブイリ事故についてこのような報告をした。

放射線が健康に影響を及ぼしたという証拠は一切無い」

これに対し,ウクライナベラルーシの医師や科学者たちは反対の声を上げた。

 

甲状腺に影響を与えるヨウ素131は8日間で半減する。

事故後2ヶ月を過ぎるとほんとど消滅してしまう。

ということは事故後2ヶ月以降に生まれた子どもの罹患率は減るはずで

それ以前の子どもの罹患率のほうが大きいはずである。

果たして,その後の医師たちの研究結果はそれを証明した。

(中略)

1969年,IAEAをはじめとする国際機関は,

小児甲状腺がんチェルノブイリ事故の影響で多発していることを認めた。

しかしその一方で,その他の特別な健康悪化の頻度が上がった

ということはないとした。

それは放射能の影響ではなく,ストレスや社会状況に起因するものであると

述べた。

 

データが無ければ「ない」として,

データが出てきても,「それは,ストレスや社会状況」と説明して,

放射能との因果関係を否定する。

こういうやり方で,守りたいものは,なんなのでしょうか。

 

ウクライナのテレシェンコ医師はIAEAの対応について

下記のように述べています。

 

「5年間事実を分析し,状況を視察し,研究調査して

甲状腺がんが増加しているのは,診断方法が良くなったからではなく,

本当にチェルノブイリのファクターが影響していたということを

認めざるを得なくなったのです。

IAEAは,疑問を起こさせる要因がまったくないことだけを認めるのです。

現在は,甲状腺がんについては誰も疑問を呈することはありません。

しかし,まだ十分に証明されていないことについては,IAEAは否定しています。」

 

これらについて,NHKのチーフプロデューサーは

ウクライナが陥った「ありふれた病気の網」と「データ不足の罠」を

指摘しています。

 

すなわち,「ありふれた病気の罠」の問題としては

 

チェルノブイリ事故の4,5年後から増え始めた子どもの甲状腺がん

原発事故の因果関係が立証できた背景にも

幼児の甲状腺がん原発事故の前には非常に珍しい病気だったということが

あったことは見逃せません。

がん全体の数と比べれば汚染地帯で発生した甲状腺がんの実数は

それほど大きくありません。

しかし,子どもが次々に甲状腺がんになるという「新奇な症例」には

目をそらせなかったのです。

事故の前後で明らかな増加が確認できることは,

疫学的調査に有利に働きました。

それでも現地の医師たちの叫びが国際機関に届き,

因果関係が認められるまでに数年が必要でした。

ウクライナの医師たちが放射線によって引き起こされたと主張している

心臓病や免疫疾患のような病気については,

その因果関係を立証するのは困難なのです。

 

とされ,また,「データ不足の罠」では,

福島でもチェルノブイリでも,準備不足や事故後の混乱の中で正確な被爆の実態を

つかむことはできませんでした。

(中略)

これまで起きた数々の薬害や公害病の訴えにおいても,

原因因子と被害に因果関係があることを主張する被害者を苦しめてきたのが

この罠でした。

あくまでも因果関係の立証責任は被害者にあります。

被害者が入手できるデータが不足している限り,

原因企業や政府側は,因果関係を否定する自分たちこそが

「科学の側」に立っていると胸を張ることすら出来るのです。

 

と指摘しています。

データ不足は被害者に不利に働くからこそ,

データを採取しないのです。

 

それでも,ウクライナは立ち上がりました。

福島は,どうでしょうか。