臨床の詩学1
春日さんは産婦人科医から精神科に変わった理由として,
いかに自分勝手でいい加減な妊産婦が多いか,
いかにでたらめな家族が多いか,
いかに精神の歪んだ人々が多いかを実感するようになった。
(中略)
あまりにも多くの母親予備軍たちは,
子どもを生むことに対する覚悟や責任感を欠いている。
子育てのプロセスにおいて行儀作法や道徳をも
教えなければならない親たちの無作法さ加減はどうだ。
ペットを飼うことと子どもを持つことに違いがあることを
彼らは自覚しているのか?
うんざりし,絶望したのである。
(中略)
ならば,最初から心を病んでいるとわかっている相手には
それなりに腹を据えてじっくり対応できるだろう。
心構えもできているから,失望したり立腹したり
することもない。
割り切ってしまえる。
と書かれています。
なんて,率直な理由なんでしょうか。
春日さんは,
そもそも,崇高な志とか,
「子どもが大好き!」といった理由で
産婦人科を選んだわけではなかった。
とも書かれています。
これだけの本を書かれるのですから,
春日さんが精神科医として
理念と実践を重ねてきたことがわかります。
やはり,やりきるためには,理念が必要なのです。